毎回質問コーナーでは、この初めにを録音した後に、その後に見るようにしてるんですね。事前に答えを用意するんではなく、質問があった方に、例えば対面でお話をさせていただくとき、事前に用意っていうのはまず基本的にはできないわけで、どんな質問が来るかは直接面談では分かりかねる。だからこそリアルでその場で来た質問に対して、自分であればどのように答えるか?そんな感覚で答えさせて頂いております。
それでは届いたご質問、読ませて頂きます。
ペンネーム、MKさん30代男性からです。
朝倉先生、いつも学び多く、そして楽しい放送をありがとうございます。
先日、仕事で一緒になる女性の方との会話の中で、この方の現状に何か役に立つことを伝えたいと思いながら、うまく言葉にできないことがありました。
朝倉先生ならどのように仰ったのだろうと思い、質問を送らせていただきます。長文になるかもしれませんが、ご容赦ください。
その女性(以下、Aさんとさせていただきます)には小学校低学年の娘さんがおり、おそらくシングルマザーとして子育てをしておられます。
娘さんがまだ保育園児の頃から子育てに関する話を聞くことはあったのですが、どちらかというとしっかりとした娘さん、という印象でした。
それが、最近は問題行動が多くて困っている、というのです。その問題行動というのは、取ってはいけない物を取ってしまう、というものだそうです。Aさんは「盗みグセ」と表現されていました。
家の中で、片付けておいたはずの物が出ているのに気づき、娘さんの持ち物を確認したら印鑑などの貴重品が出てくる、学校からお友達の持ち物を持って帰ってきてしまう、などのことが頻発しているといいます。
まだ万引きなどの行為には至っていないようですが、エスカレートしていかないかととても心配しておられます。
その行為がなぜ良くないのかを根気強く伝えるためにいろいろ手を尽くしても、その時の反省や後悔は見られてもどれほど伝わっているのかがわからないそうです。
この話を聞いているとき、朝倉先生が以前の教え子の保護者さんにされたアドバイスのお話を思い出しました。
記憶違いがあれば申し訳ないのですが、ご両親が障害のある弟さんの世話に手一杯になりがちで問題行動が見られる男の子のお母様に「毎日抱きしめてあげて、愛を伝えてあげてください」と伝えられたところ、その男の子の行動が変わった、というお話だったと思います。
私は、その娘さんの行動は「試し行動」なのかなと感じました。Aさんは本職の他にも休日に副職にも勤めながら、懸命に子育てをされています。
たった一人の娘さんに大きな愛情を持っておられることは間違いありません。
しかし、娘さんはもしかしたら寂しいのではないか、もっとお母さんと過ごす時間がほしいのではないか、そのためにお母さんが振り向かざるをえないような行動に出てしまっているのではないか。
全ては私の憶測でしかありませんが、そのように感じました。
だからこそ、朝倉先生がかつて男の子のお母様に伝えられた「抱きしめて、愛を伝える」ということは、この娘さんにも何か変わるキッカケになるのではないかと思いました。
しかし、私はこのことを伝えられず、相槌を打って話を聞くだけにとどまってしまいました。
状況説明が長くなってしまいましたが、私が考えを伝えられなかった理由を自分なりに分析してみると以下のようになりました。
①Aさんは私より10ほど年下ですが、職歴と職場内の立場においても彼女のほうが先輩であるということ
②私には息子がいますが、まだ保育園児であり、子育てにおいてもAさんの方が先輩であるということ
③Aさん自身も我が子に寂しい思いをさせているかもしれないという認識があり、伝え方によっては「親の行動に問題がある」と追い込んでしまわないか、とためらってしまったということ(Aさんは仕事面においても真面目で責任感のある人です)
最大の原因は、私自身に勇気がなかったことだと認識しております。ただ、朝倉先生が今回の私と同じような状況・立場であったとき、どのようにされるかお考えをお教えいただけましたら幸いです。
長くなりましたが、最後まで目を通していただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。
はい、ペンネームMKさん、質問をありがとうございます。
チャプターを分けてお話をさせて頂きます。
あくまでも私の考えということで、一つの参考になればありがたいです。
ペンネームMKさん、このを頂いたメッセージを見ながら、なんか胸にグッと詰まるものがありました。MKさんは優しい方ですね。そしてご自身が言葉に出なかった、それはなぜなのかっていう自分自身の心を分析もしてくださり、ありがとうございます。
心根の優しい方だなっていうことが、この頂いた文章からも感じます。
私が以前に語った、小学校5年生で担任した子供のこと、よく覚えてくださってましたね。
本当に小さい時から問題児とされていて、私が担任になった時も、前任の先生から申し送りがありましたが、やはり落ち着きがなく、常に問題を起こす子供っていうことでレッテルを貼られていました。
廊下を走り回ってる姿を見て、私が足を開いて手を横に開いて大という字を作って、こっちにおいでということで、走ってきたその子を思いっきり抱きしめた時に
「離せ!離せ!離せ!」って言ってましたが、私がずっと抱きしめてね、
「大好きだよ!」って言ったら、もうバタバタしてる手がおりました。
何でこの子はこんなに学校で問題を起こすのか?っていうことで、家庭訪問に行った時に驚きました。
本当に重度の障害を持ったお兄ちゃんの手間にお母さんがかかりきりで、全くその子の面倒を見るゆとりもない。だから家ではものすごくいい子だったんです。その反動が学校で出てたんですね。
子供ってやっぱり正直だと思うんですね。抱きしめてもらいたい!甘えたい!
だけど、それを親が大変な思いをしてるっていうことを見てるがゆえに、心配をかけられない。それをどこかで発散する。その場所が学校であった...
それって、未熟な子供が出せる精一杯のことだと思うんですね。
今回のこのメッセージを読ませて頂きながら、この女の子は本当に寂しい思いをしてるんではないかなと思ったんですね。
お母さんが一生懸命働いている...そんな中、なかなか会話をする時間がなかったり、また抱きしめてもらえる時間がなかったり、たった5秒でいいですから、たった5秒でいいですから、抱きしめてあげてほしいなと思うんですね。
私は完全に鍵っ子でした。
親が私たちが小さい時から水商売をしてました。
お好み焼き、焼肉、スタンド、スナック、バー、最後は和風スナックで終わったんですが、クラブ経営をしてたり、スナック経営をしてたり、焼肉屋さんを経営してたり、小さい頃は祖母に育てられました。
甘えたくても甘えられないこともたくさんありました。でもずっと親を恨んでたかって言うと、一生懸命働いているその両親がいるからこそ、私たちは学校にも通えたし、父はいつも心配そうにお店を抜け出して、私と弟がちゃんと寝てるかどうかの確認も、また果物を持ってきたりしながら、まあ見守りというかね、見守り隊のように覗いてくれたりもしてました。
弟と二人で寂しい日を過ごしたこともあります。
私たちが寝て、もう本当に熟睡してる時間帯の夜中の2時3時に両親が帰ってきて、私たちが学校に行く時はまだ両親は寝ているということで、自分でご飯を作って、お弁当を作って、そういう風にしていく生活もありました。
だけど1点だけ、なぜ私も弟も悪いこといっぱいしましたよ。それでもこれ以上はできないなと思ったのは、言葉がけなんですね。
私と弟が喧嘩した時も、母は一緒に正座をしながら、ホコリ叩きでピシッと叩くと、これみみず腫れみたいになるんですね。そこを手でさすりながら、母は自分が泣きながら、
「あんたらは、オモニの大事な子、宝物や!兄弟2人しかおれへんねんから喧嘩したらあかんで!」って言いながら、もう泣きながら注意・指摘してましたね。
ある意味、愛されてるなっていうような思いがあれば、悪いことをしたとしても、これ以上やったらやっぱり親が心配するだろうな...っていう直前で止めることができる。
まあそれは好奇心旺盛な私はいろんなことやりました。だけど「この一線を超えたら...」っていうようなものも含めて、自制が効いたのは、やっぱり愛だと思うんですね。
そばにいるからって言って、愛されてる実感があるかというとそうではなく、やっぱり声かけ、言葉掛け、どういう言葉を常にかけることができるのか。
小さい時から、ずっと抱きしめられたわけではないです。ですが言葉によって、私は大事に思われてるな...大事にされてるな...っていうことを、母の言葉を通して感じることができたわけですね。
今回のペンネームMKさんが、この一生懸命働いてる女性に対して、とても優しいマインドで受け止めてくださっているが故に、自分の子供のことを正直に話せたのではないかなと思うんですね。
本来であれば、自分の子供のこと、人には言いたくない...隠したいことをあえてMKさんにお話をされたっていうことは、MKさんの心の広さ、器の大きさを感じ取ってらっしゃるんではないかなと思うんです。
だからこそ、もしこの次にチャンスがあったとするならば、クッション言葉を添えて、
例えば、この書いてくださった3つ、
「私はAさんよりも10歳も年下であり、職歴と職場内の立場においても、自分の方が後輩であることは事実ですが、私の考えを伝えてもよろしいですか?」
そうやって、クッション言葉と前置きを伝えてお話をしてみることはいかがですか。
そして2番目の分析にもあるように
「私には息子がいます。ですがまだまだ私の息子は保育園児であり、子育てにおいてもAさんの方が先輩であるということは、十分わかってはいますが、私の考えをお伝えしてもよろしいですか?」って言って自分の考えを伝える。
3つ目の、
「Aさん自身も、我が子に寂しい思いをさせてるかもしれない」と認識があるというところも含めて、それも言葉を選んで伝えてみるのはどうでしょうか。
「お話を聞く限り、Aさんご自身も我が子に寂しい思いをさせているかもしれないという認識がおありですね。だからこそ、伝え方によっては親の行動に問題があると追い込んでしまわないか...私は非常にためらったんです。
ですが、このようにお話をしてくださったのも、せっかくのご縁ということもありまして、私の考えをお伝えしてもよろしいですか?」
「これまで接してきた中で、Aさんは仕事面においても真面目で、非常に責任感のある人です。だからこそ、私自身がAさんに対して生意気なことを言うのは申し訳ないなと思いながら、なかなか言葉が出なかったんですが、今日は勇気を持って私の考えを述べさせて頂いてもよろしいですか?」
と前置きをつけて、ご自身の考えをお伝えすればいいのではないかなと思うんですね。
愛が足りない、できればたくさん語り合ってほしい!抱きしめてあげてほしい!子供がその行動をするには、それをせざるを得ない何か理由があるはずなんですね。
だからこそ、心配ももちろんですが、信頼し、じっくり最後までお子さんの言い分を聞いてあげて欲しいということを、率直にお話してみてはいかがでしょうか。
ぜひ、誠実なMKさんの思いを、きっと、Aさんは汲み取ってくださると私は思います。
もっと言うならば、そのことをこのように、文章にして書いてきてくださるMKさんは、やっぱり心の優しい人です。
MKさんが自分の思いをAさんに伝えられる時、ぜひ自分自身だったらっていうことと、自分の正直な思いを前置きをつけてお話しされることによって、相手が傷つくことはないと思います。
ぜひね、お話をしてみてください。
もっと言うならば「自分が過去に聞いたお話の中で、朝倉千恵子先生という方が語ってくださった言葉があります」ということで、今回の事例を話されてもいいのかもしれませんね。
何かありましたら、また遠慮なく質問してください。
貴重なご質問ありがとうございます。
参考になると嬉しいです。
いかがでしたか。
本心を伝えて、急に怒り出す人はいない。
正しい、大事なことは前置きなんですね。
「言葉を選ぶのに正直に言ってもいいですか?」
「以前から思ってること、なかなか勇気が出なくって言葉で出せなかったんですが、今日は意を決し、お伝えしてもよろしいでしょうか?」
「少し耳の痛いお話になりますが、率直でお伝えしてもよろしいですか?」
「クッション言葉」プラス「質問話法」「応酬話法」
これは何か相手に伝えなくてはならない時に、言いにくいこと、これを言ったら相手は傷つくんではないかなと思う時に、クッション言葉が魔法の言葉として使うことが可能です。
是非とも有効活用していただければなと思うんですね。
言い方、言い回し、話し方のあり方を間違えてしまうとトラブルになることもありますが、相手を思い、誠実に伝えることは、決してマイナスにはならないと私は思っております。
今回のMKさんのように、何か質問がありましたら、遠慮なく質問コーナーに書いてください。
チャプター欄のGoogleフォーム宛にお願いします。