毎週木曜日は、読み物の日としまして、書籍や雑誌、新聞などから見つけた、学び多きエピソードを朗読の形でご紹介させていただきます。 リスナーの皆様にとっても、心に響く物語が見つかれば幸いです。 それではお聞きくださいませ。 父と娘の小さな約束 春の午後、庭は柔らかな日差しが降り注ぎ、風に揺れるシャボン玉が輝いていた。 7歳の桜はその光を追いかけて、笑顔で走り回っている。 「パパ見て、こんなに大きいのができた」 満面の笑みを浮かべたさくらが叫ぶと 父の修一は穏やかな微笑みを浮かべて頷いた。 「本当だ、すごいな。空に虹色の宝石を浮かべたみたいだな」 修一の言葉に、さくらは誇らしげに頷いた。 彼女の純粋な笑顔と無邪気な声は、修一の胸にいつも温かい明かりをともしていた。 夜、桜が眠りに着いた後、修一は書斎でふと考えた。 「この小さな手を、どれだけ長く守れるだろうか。やがて巣立つ日が来るのかな」 その思いに、少しだけ胸がキュッと締め付けられた。 それから数年が経ち、さくらは中学生になった。 少し背が伸びて、髪も長くなり、父に甘えていた幼い頃の面影は薄れてきた。 彼女は自分の部屋で過ごすことが多くなり、修一との会話も以前より少なくなっていた。 そんなある日の夕方、修一はさくらの部屋の前に立ち、そっとノックをした。 「さくら、少し時間があるか」 ドアの向こうから、少しけだるげな声が返ってきた。 「何?」 修一は小さな紙袋を手にして、部屋に入った。 「これ、見つけたんだ」 修一が差し出したのは、幼い頃にさくらが書いた1枚の絵だった。 絵には手をつなぐ父と娘、そして大きな虹が描かれていた。 「これ…」 さくらは思わず口元を手で押さえた。 「覚えてるか?」 修一は優しく訪ねた。 「うん、これ、パパとずっと一緒にいたいって思って描いたんだよね」 彼女は絵を見つめながら、どこか懐かしそうに微笑んだ。 「そうだな、お前はこれを見せて、嬉しそうに『ずっと一緒だよ』って言ってた」 修一の声は、どこか遠くを見るような穏やかな響きだった。 「でもさ、パパ…」 さくらの声は少し震えていた。 「私、大きくなって、これからもっといろんなことが変わるかもしれない。でもね…」 修一はそっと彼女の方で手を置いた。 「でも?」 さくらは少し俯き、涙を拭いながら行った。 「パパがずっと私を守ってくれたみたいに、私も、パ...
あまり マイナスの話はしたくない私ではありますが、これはどうしてもシェアしておきたいなと思う事柄がありました。Voicyリスナーの皆様にお伝えさせてください。 10時30分ラストオーダーのお寿司屋さんに入った時のことです。 時間は10時10分、夜の10時10分。 そのタイミングに、ほんの少しだけビールを飲んでおつまみを頼んで、そして少しだけお寿司食べたいなと思って入りました。 「ラストオーダー10時半ですがよろしいですか?」 「はい、大丈夫です」 カウンター席に座らせていただきました。そしてビールを1本頼んで、おつまみを取って、そしてお寿司を食べて、気持ちよく最後の1日を振り返りながら非常に一人時間を堪能してたタイミング。 そのタイミング、私はカウンター席にいたということもありまして、厨房の中にいらっしゃる板さんが片付けを始めました。ボックス席にはまだまだたくさんお客様がいらっしゃいました。そしてまた次から次へと海外のお客様が入って来られます。その度にお断りをされていました。 そんな中、板さんが片付けるお姿があまりにも衝撃的だったんです。本当にショーケースの中にあるネタを、きっとそのネタは明日のお寿司に使うネタです。そのお寿司のネタをバットの中にバサ!バサ!バサ!と、まるで物を捨てるようにバットの中に入れ、そして音をガチャガチャと鳴らしながら片付けをするその様。 その時私は最後の締めの巻物を食べてました。冷茶お願いしたところ「有料ですがいいですか?」って言われたので「はい、結構です」ということで、有料で冷茶を頼んで、そして最後の締めの巻物を食べてる時、食べ終わった後にその方が 「今度はゆっくり来てくださいね」 とおっしゃいました。 私はその時、食べ終わった後に一言だけ、本来言うべきことではなかったのかもしれませんが、どうしても気になったがゆえに、そこの胸元にあった名札を見ながら 「〇〇さん、最後の片付けがあまりにも乱暴でびっくりしました。〇〇社長、悲しまれます」って言って、そして席を立ち、21年間通っていたお店っていうこともあって、レジには昔馴染みのお姉さんがいらっしゃったがゆえに 「最後の後片付けがあまりにも乱暴すぎて残念でした」 ていうことは、言葉に出させていただきました。 その店ができる前から知っていて、その店ができてからも社員と共に何回も行き、たくさんのエピ...