お申し込みはこちらから 『レジ打ちの女性』 彼女は何をしても続かない人だった。 田舎から東京の大学に来てから、サークルも、せっかく就職した会社も、そして、 転職した仕事も長続きせず、職を転々とし、どこも正社員として雇ってくれなく なり派遣社員として働くことになった。 それでも派遣先でトラブルを起こしたり、派遣の仕事も長続きしない。 自分でもこんな事じゃいけない、もっと耐えなければと分かっているがどうして も続けられない。 そんな時にレジ打ちの仕事を紹介された。 (この当時はレジはタイピングタイプのものだった) ところがこの仕事も、単純作業に思えて嫌になり、もっと耐えなければと思いな がらも辞表を用意した。 そんな時、田舎の母親が彼女に「もう、帰っておいで」と電話をくれる。 これで迷いも吹っ切れて田舎に帰ろうと荷物をまとめ出した時に子供の頃の日記 を見つけ、パラパラとめくっているうちに 「私はピアニストになりたい」と書かれているページを発見した。彼女はピアノ の練習だけは長続きしていた事、 心から夢を追いかけていた自分を思い出し、自分で自分を本当に情けなく感じる。 「あんなに希望に燃えていた自分が今はどうだろう。いくつも仕事を辞め、今も またこの仕事から逃げようとしている」 そして、彼女は泣きながら母に「もうちょっと頑張ってみる」と電話した。 そして、また、レジ打ちを始めた彼女はピアノのようにレジを打ってみようと思 いつき、レジを見なくても打てるように練習を始め、数日後にはものすごいスピ ードでレジを見ずに打てるようになる。 すると、これまで見えなかったお客さまの様子が見えるようになり、いろいろな お客さまの一人一人の特徴が分かるようになっていった。 そんなある日、いつも安売りの物ばかりを買うおばあさんが 5,000 円もする鯛を カゴに入れて彼女のレジに来た。 彼女はビックリして思わずおばあさんに話しかけた。 「今日は何かいいことがあったんですか?」 「孫が水泳の賞を取ったんだよ。そのお祝いなんだよ」 「いいですね。おめでとうございます」 嬉しくなった彼女の口から自然とこんな言葉が飛び出した。 これがきっかけで、お客さまとコミュニケーションをとるのが楽しくなった彼女 は、他のお客さまとも様々な言葉を交わすようになり、お客さまの顔と名前も一 致するようになってこの仕事がだんだん楽しくなってきた。 そんなある日、「今日はすごく忙しい」彼女は、そう思いながらもいつものように お客さまとの会話を楽しみながらレジを打っていた。 すると店内放送が流れた。 「本日は混み合いまして申し訳ございません。どうぞ空いているレジにお回り下 さ い 。」 そして、わずかな間をおいて同じ放送がまた流れた。 すぐに 3 回目の同じ放送が流れて、おかしいと気付いた彼女は、周りを見渡して 驚いた。 他の 5 つのレジが全て空いているのにお客さまは自分のレジにしか並んでいなか ったのだ。 店長が慌てて駆け寄ってきて彼女のレジに並んでいるお客さまに 「どうぞ空いているレジにお回り下さい」 と言うと、そのお客さまは店長の手を振りほどいてこう言った。 「ほっといてちょうだい。私はここへ買い物に来てるんじゃない。 あの人としゃべりに来てるんだ。だからこのレジじゃないとイヤなんだ」 その瞬間に彼女はワッと泣き崩れた。 その姿を見て他のお客さまたちも「そうそう、私達はこの人と会話するのが楽し みで来てるんだ。このお姉さんと話をしたくて来ているんだからこのレジに並ば せておくれよ」 彼女はポロポロと泣き崩れたまま仕事というのはこれ程素晴しいものだという事 に初めて気付いた。 その後、彼女はレジの主任となり新人教育も行うほどになった。 涙の数だけ大きくなれる! 木下 晴弘氏の書籍から いかがでしたか。 雑にするから、雑用! 仕事にどう言う意味付けをするかは全て自分次第ですね。 このエピソードは過去に部下から紹介してもらったエピソードですが、私は父を思うんです。 父もある人のレジしか並ばない。 「お父ちゃん、こっち空いてるよ!」 「いらん〇〇さんのレジがいい!」 「こっち、空いてるよ!こっちのが空いてるよ! 「〇〇さんのレジがいい!」 「なんで?」って 「〇〇さんはいつも話しかけてくれんねん、万年連休や!忙がへん!」 そう言うことを言ってたことをふと思い出しました。 やっぱり、話しかけてくれる、そして感じのいい笑顔で接してくれる。だからその人のレジに並びたい。どこでもいいわけではない!そのスーパーに来てるわけじゃない、〇〇さんと話がしたいから、〇〇さんの顔が見たいから。 お店はそうですよね。美味しいお料理であれば、いろんな美味しいものを出してくれるお店っていっぱいあります。ですが、そのお料理を食べたいだけではなく「〇〇さんの顔が見たいから」「〇〇さんに会いに来たから」「ママの顔が見たいから」「ママに会いたいから」「店長に会いたいから」「店長の顔が見たいから」 料理ももちろんですが、どれだけのプラスアルファの付加価値を提供できるか、これがとても大切ではないかなと言うことを改めて感じさせて頂きました。 私が35歳で初めて営業の世界に身を置いた時 「私は絶対にトップセールスになる!」と決めたのは、私に初めて契約してくださったお客様の存在があったからこそ。 このお客様のために私は絶対にトップセーズになる。 そこそこ売れてるような営業では嫌だ! お客様が「うちの担当営業はあの会社のトップセールスですよ!」って言われるぐらい、自分はどんなことがあっても、結果を出すと誓った時のことも、ふと思い出させて頂きました。 木下晴彦、先生ありがとうございます。 素敵なメッセージをVoicyリスナーの方々にお届けすることができました。 |