「ハート」この世で最も素晴らしく最も美しいものは、見ることもを触ることも出来ません。でも、心でなら感じることが出来るのです。
ヘレン・ケラー
妻との別居に踏み切ったのは、去年の11月も終わりの頃だった。ご推察の通り、最初の1ヶ月は辛い日々だった。情緒がひどく不安定になり、カウンセリングに通うようになった。
ある時、担当の女性カウンセラーに「新しい生活に早く慣れるために、何か効き目のあるものをいただけないでしょうか?」と頼んでみた。
もちろん私の頼みに応じてもらえるかどうか。また、たとえもらえるとしても一体どんなものになるのか、全く見当がつかなかった。嬉しいことにカウンセラーは私のリクエストに応えてくれた。だが、手渡されたものは予想通り、全く予想もしないものだった。それは、粘土で出来た手作りの小さなハートだった。明るい色が綺麗に塗られている。
以前、やはりここでカウンセリングを受けていた男性からもらったものだと言う。彼も離婚を経験し、私と同じように自分の気持ちを整理出来ず悩んでいたと言う。
しかし、カウンセラーは「自分自身のハートを見つけたら、この粘土のハートを返してくださいね。」と付け加えた。私にはハートの意味が理解出来た。
それは、心豊かな生き方を求める私の気持ちを形で表したものだった。このハートを支えに、きっといつかより深い心と心のふれあいが出来るようになるだろう。
私はありがたく受け取った。
思いがけずも、この不思議な贈り物はたちまち効き目を現し始めた。
カウンセリングを終えると、私は車のダッシュボードの上にハートをそっと置き、ウキウキした気分で娘のジュリアンお迎えに車を走らせた。その日、娘が私の新しい家に初めて泊まって行くことになっていたからだ。
ジュリアンは車に乗り込むなりハートに気づいた。手にとってしげしげと眺めてから「これなあに?」と尋ねた。
娘はまだほんの子供だ。このハートに託されたいろいろな意味を全て話すべきかどうか、私は迷った。だが、ともかく話してみることにした。
「これはカウンセラーからのプレゼントだよ」
「今はパパにとって苦しい時なんだ。でもこのハートさえあれば、きっと大丈夫だからね!」
「ただね、パパが自分のハートを見つけた時には返すことになっているんだ...」
ジュリアンは何も言わなかった。やっぱり言うべきではなかったのかもしれない。果たして11歳の子供に理解出来ただろうか。今までのやり方から抜け出し、豊かな人間関係を築くため、父親が心の中で、深い亀裂に橋をかけようとしてることなど、幼い娘にどこまでわかるんだろうか。
それから数週間が経った。娘がまた私の家に行ってきて、少し早めのバレンタインデーの贈り物をくれた。娘が自分で赤く塗った小さな箱には、金色のリボンが可愛らしく結ばれ、チョコレートがのっていた。
チョコレートを一緒に食べ、胸をわくわくさせながらその箱を開けてみた。すると中から、娘が自分で作った粘土のハートが出てきたではないか。色も綺麗に塗ってある。私は不思議に思って娘の顔を見た。
このハートは何を意味するのだろう。
なぜカウンセラーがくれたものとそっくりのハートをくれたのだろう。
次に娘は、やはり手作りのカードをはにかみながら差し出した。そこには11歳の子供が書いたとは信じがたいほど、素晴らしい詩が書かれていた。娘はカウンセラーからの贈り物の意味を完全に理解していたのだ。私はこの愛情あふれる子に胸がいっぱいになった。
”パパへ。
このハートはパパのため。大きなジャンプをしようとしているパパのため。よい旅をしてね。行き先がよく見えないかもしれないけれど、目的地にたどり着いたなら、パパのハートを大切にね。ハッピーなバレンタインデーでありますように。
あなたの娘ジュリアンより
愛をこめて”
レイモンド・L・アーロン
いかがでしたか。
今回読ませて頂いた書籍は
ダイヤモンド社様から出されてる本です。
この本を紹介してくださったのは、大津愛子さんのstand.fmでした。
私はstand.fm を聴きながら即ポチりました。そして読ませて頂いておりますが、このこころのチキンスープの中には,、もう涙涙の物語がたくさんあります。
是非Voicリスナーの皆様に想いを届け!そんなマインドで読ませて頂きました。
いかがでしたでしょうか。
こころのチキンスープ、いい本だなと思います。