Voicyリスナーの皆様、今日は「損の哲学」というテーマでお話をさせていただきますね。
昭和23年生まれの経営トップの方から、私が営業時代に教えていただいた言葉です。
「損の哲学、その損は未来からの贈り物。」
皆さん、毎日Voicyをお聞きくださりありがとうございます。
いや、この「損の哲学」というテーマ、深くて優しい、深くて優しいテーマなんです。
「損の哲学、その損は未来からの贈り物。」
一見「損」と聞いたら、なんとなく避けたいですよね。
損したくないと思うのが、当たり前の自然な気持ちだと思うんです。
私もやっぱり損はしたくないと思います。
ですが、人生を長く生きてきて、63年間歩いてくると、あの時損したと思った出来事が、実は不思議と「あの損した出来事が宝物のような時間だった」と思えることがあるんです。
それは、もしかしたら自分の心が成長した証なのかもしれませんね。
時間をかけて育まれた人との信頼関係なのかもしれません。
もしくは、本当の自分らしさに出会うための通過点だったのかもしれません。
私自身も過去を振り返った時に、たくさん損したなと思う場面がありました。
誰かのために一生懸命頑張って、一生懸命尽くしたにもかかわらず、感謝されるどころか誤解をされてしまったり、相手のことを思って伝えた言葉が、なぜか相手の心を傷つけてしまって、相手との関係性を遠ざけてしまったりとか。
自分では全く悪気のない一言が、実は相手を無意識に傷つけてしまったり、いや〜いろいろありましたね。
いや、本当はもっともっと自分が目立つチャンスがあったかもしれない、その時に遠慮してしまったりとか、誰かに譲ってしまったことで、その人が輝いて、スポットライトが当たって、それをそっと見守るしかない。
そんな自分を見て、「なんであの時に手を挙げなかったんだ」とか、
「なんで控えめが美徳だと思ったんだ」とか、
「手を挙げなかったら指名されることもないし」とかっていうこともありますが、ですが、後から気づくんです。
あの時、自分自身が我慢した、一見損をしたと思う自分、その方が後になって人の痛みが分かったり、「あ、あの時に自分があえて、このチャンスを自分が欲張りに手をつけないで、譲ったことによって、その時自分がどういう感情になるのか」ということを知ることができたり。
あの時の選択、あの時の自分自身が、実は自分との信頼関係を作ってくれたんだなとか。
もしくは、相手との信頼関係を築けたのは、その時自分がやはり、がっちり得をしようと思って、あすかましく奪い取るのではなくて、その時、ぐっとこらえて引いたことによって、後に大きなチャンスが巡ってくる。
世の中には、目先の男を取ることに、とても長けた人がいますね。
いや、本当に「上手いな」とか、「この人本当に上手いな」とか思う人って世の中にはいます。
ですが、あの時、損を選んだ自分。
損って、決して負けじゃないんです。
むしろ、本物の強さを持った人にしか、できない選択なんだなと、私はそう思っているんですね。
目先の男を取ることに、非常に長けた人もいます。
ちょっとえげつないなと思うぐらい、上手に持っていく、そんな人も中にはいますよね。
そんな光景を見て「ここまでできないな」とか、「私はここまでやりたくないな」と思うんですが、それも、巻き押しみなのかもしれませんね。
いやいや、損をしても黙って耐えて、誰かを思い続ける。
損をしても、それでも私の信念は変わらない、報えむ。
損をしても、この人に喜んでもらえるならそれでいいと思える。
そんな人って、なかなかいないですよ。
だから、そんな人の背中には、静かな誇りと、にじむような品格が出てくるんです。
私は、昭和23年生まれの経営者の方に教えてもらいましたが、お父様が損の哲学を持って、生き抜いた方だとおっしゃっていました。
すごく大事な教えをいただきましたが、「損して得取れ」という言葉もありますよね。
この損して得取れというのは、商人の知恵だそうです。
ですが「損しても、得を取らん覚悟を持てる人間が、最後は愛され信頼される」ということを、私はその経営者の方に教えてもらいました。
なんか、お父様のことをお話しされた事例だったんですが、胸がねじんわり熱くなったことを、今でも鮮明に覚えています。
目に見える得や評価ではなく、目に見えない心の在り方や、生き様を選び続けられるような、人になりたい。
私はそう思います。
そのためには、損する勇気も時には大事ですよね。
損の哲学とは、自分の心の深さや温かさを、大切に育てていくことです。
人とのご縁を、利益や条件で測るのではなく、この人と心と心で繋がっていたいと願う。
好きに理由はないですからね。
見返りを求めずに、いかに相手に与えることができるのか。
美しいことだと感じられる感性を、どれだけ持てるか。
美しい景色を見ても、美しいと感じることもできない。
そんな、心がささくれた状態ではなく、美しいものを美しいと感じられる感性を持つこと。
きっと、そういう人にしか見えない景色が、人生にはあると思います。
このVoicyを一生懸命聞いてくださっている、リスナーの皆様も、時には「損しているなぁ」と感じているところがあるかもしれませんが、
頑張っても報われない...
優しくしてもかえって傷ついた...
正しいことをしているはずなのに、なぜか孤独を感じる...
そんな時もありませんか。
そんな時はどうか、自分を責めずにこのように呟いてみてください。
「私は、損の哲学を生きているんだ。」
それは、私たちの心が、この世界で最も美しい道を選んでいる証です。
損をしても、笑っていられる人は強いです。
損をしても、温かくいられる人は優しいです。
損をしても、ぶれない人は品があります。
損とは、人生から与えられる、魂の試練なのかもしれません。
ですが、それは同時に人生のプレゼントでもあります。
損を選べる人にしか、届かないギフトが、必ず、必ず、私たちの人生にも、用意されています。
だから、決して焦らないでくださいね。
諦めないで、そして、誇りを持ってこの損の時間を歩んでみてください。
ぜひ、Voicyリスナーの皆様のあり方が、誰かの勇気になっていると思いますよ。
損を恐れず、愛を持って信念を持って生きる人は、きっといつか大きな信頼と感謝に包まれます。
自分を信じて、優しく歩いていきましょう。
では、また。
これからも、Voicy続けていきますので、よろしくお願いします。
今日も、Voicyをお聞きくださり、ありがとうございます。
最後のコメント返信までお聞きいただけると、心より朝倉千重子が喜びます。
よろしくお願いします。