本日は、「部下の可能性の目を潰してはならない」に続き、一緒に考えてみることについてお話してみたいと思います。
例えば私たちが人を育成する立場にあるとき、部下を指導育成する肩書を持ってその役目を任されているとき、ついつい「こうしてほしい」とか、「こうやるべき」とか、正しさや効率を優先して指示を出してしまうことありませんか?
私もかつてはありました。
このようにやってもらいたい、こういうふうにやってもらった方がより一層効果的、効率的に仕事ができるということで、つい自分自身のあり方、そしてやり方を押し付けてしまおうとする。
そんなことは、やっぱり過去はありました。
ですが、正しさや効率を優先して指示を出してしまうと、本当に人が動いてくれるかというと、やっぱり違うと思うんですね。
言われたことはやる。
ですが、プラスαのことまで考えてやろうとしない。
人は、例えば自分が本当の意味で仕事の面白さを感じたときというのは、放っておいても仕事します。
ところが、言われたからやる、怖いからやる、ある意味命令だからやる。
そのような仕事感では、正直、仕事の面白みってないですよね。
理屈だけでは、人の心はなかなか動きません。
「新時代の戦略的コミュニケーション講座」でも、井上先生から度々教わることですが、やはり好きな人から言われたからやる。
嫌いな人から言われたことは、仕事だからやるかもしれませんが、本当の意味で魂がこもった仕事になっているかというと、なかなかそうではないことってあると思うんですね。
人は、人の優しさに触れて、優しさを覚える。
突き放されるのではなく「一緒にやってみよう」と声をかけてもらって、同じ方向を向いてくれること。
これって、やっぱり意味があるのではないかなと、私は思います。
「一緒に行こうか」「一緒にやってみようか」「一緒に考えようか」
その言葉の中に、安心感と信頼、そして「あなたを一人にしないから大丈夫よ、心配しないでね」というような、大きな愛情が込められていると思います。
率先垂範。
私はこの「率先垂範」という言葉が好きです。
言っていることと、やっていることが一致している。
有言実行であれ。
これは、自分自身もこだわってきたことですが、どんなに偉そうなことを言ったとしても、部下は冷静に見ています。
「この人は結果も成果も出さなくて、肩書きで仕事をしているな」
「部下を顎で使っているな」
「こんな人は好きになれないな」
弱い立場の人の方が、私たちのことを冷静に見ている可能性が高いですよね。
だから私たちは、人を指導するにあたって、立場で人を顎で使うことではなく、一緒に寄り添い、誰よりも先に現場に入り、誰よりも一歩前に出て「私も一緒にあなたと頑張るからね」と、そういう姿勢で語れること。
その背中を見せて、部下を引っ張っていく。
本当の意味でのリーダーシップは、言い出しっぺ。
これ、お客様から教えてもらいましたが、「朝倉さん、リーダーシップって何?」って。
私は指導力とか、目的に向かって率先垂範するとか、そういうことを言った時に、
「いやいや、リーダーシップってね、言い出しっぺだよ。言い出しっぺが最後まで責任を持ってやればいいんだよね。」
言葉も似てるですよ。言葉は似てないですけど、発音は似てるですよ。
リーダーシップ、言い出しっぺ。
なるほど、と思った言葉でもありました。
突き放されたり、「勝手にしろ」って言うと、自分はもう愛されてないんではないかと、そう思いがちですが、声をかける、同じ方向を向いて動こうとするその姿勢を見て、人は「この人と一緒に前を見て頑張ろう」という気になるのかもしれませんね。
メリハリのある部門とは、やらされているのではなく、「やってみよう」が息づいている場所です。
私たちのチーム、私たちのチームで勝つ、私たちは一丸となって結果を出す。
そんな自覚と誇りが育っていく、そんな場所が、まさにメリハリのある部門につながっていくのではないでしょうか。
最後に、絶対に忘れてはいけないこと。
人の感覚はとっても鋭くって、言葉以上に態度や空気感を敏感に感じるということ。
ここ、直感ってありますよね。
何とも言えない、もやもやした空気感、何とも言えない違和感とか。
こういうのって、空気の中に漂っているもの、見えないからこそ怖いですよね。
だからこそ、リーダーの在り方が、部門や会社全体の空気を作る。
小さな行動の一つ一つが、誰かのやる気を奪ったり、逆に、誰かのやる気を奮い立たせたりします。
それだけの影響力が、リーダー、指導者、人を導く立場の人にはあります。
最後に、大好きなものを現場に取り入れていくことも、大切な基礎の一つです。
「これやってみたい」
「これワクワクする」
そんな小さな情熱や好奇心が、チームの力になってきます。
人を導くお立場の方々、声をかけるメッセージ、どんなメッセージを発信していますか。
今、この人に必要な言葉は何なのか、どのタイミングで何を届けるべきなのか。
その使いどころを見極めていくのが、関わる側の技術です。
まさに育成とは、選択の連続です。
時に、あえて目をつぶることも必要。
「今は見守る時だな」
「今は動かさない方がいいな」
「今は待たなきゃな」
そんな待つ勇気も、また愛情の形だと私は思います。
人を育てることは、感情が揺れ動くものです。
「不貞腐れたらどうしよう」
「ずるいと思われたら嫌だな」
そんな不安も湧いてきますよね。
ですが、それを超えていくことが、本当の意味でのリーダーシップであり、愛あるマネジメントにつながると思います。
現状をしっかり認識すること。
今、この部下はどこまで来ているのか、どこまでできるのか。
この部門は今、どんなタイミングにいるのか。
そして、何よりも、「今の我が社は、もうかつての我が社とは違う」ということに、しっかりと気づいておくこと。
時代はどんどん変化しています。
人もどんどん変化しています。
それに合わせて、私たちの関わり方も、柔軟に変えていく必要があります。
過去はこうだった、ああだった、これをやらなきゃいけない「ねばならない」ではなく、一緒に考える、一緒に悩む、一緒に動く。
シンプルですが、奥深いスタンスが、人の心を動かします。
ぜひ、今日のお話を聞いて、一歩、一緒に踏み出す勇気を。
誰かの背中を押す一言が、相手の心を温め、そして、やる気につながっていきます。
ぜひ、Voicyリスナーの皆様、今週もたくさんの成果をあげられるように、応援しております。
朝倉千重子でした。
一緒に考える、一緒にやろうか、そんな一言が、どれだけ人の心を動かすのか、私たちは知っています。
指示ではなく、寄り添い、率先垂範とは、姿で示すこと。
たとえ形だけでも「一緒にやってくれている」と感じてもらえるだけでも、チームの空気は変わります。
放置されるのと、一緒にやるは違いますよね。
人の感覚は伝わります。
だからこそ、大好きなものを取り入れて、時には見守り、時には入れ替わりも決断する。
それもすべて、育成の一部になります。
今の、私たちの部下に必要なものは何か。
今の会社に合う、関わり方とは何か。
現状を正しく見て、柔軟に動ける、そんなリーダーでありたいですね。
共に考え、共に育つ。
一緒に考え、一緒に育ちましょう。